誰にだって、良いところも悪いとこもたくさんある。人生だって山あり谷あり──すべては選択の連続だ。誰と仲良くするのか、どう行動するのか、それは子供時代から始まっている。仲間と意思が未来を作った、少年マイキーとグーニーズの物語。
1985年公開、アメリカ合衆国で作られたアメリカを舞台とした冒険モノ。主人公が少年なことから、ジュブナイル・ヤングアダルト系の作品と扱われることもあるが、冒険といっても死スレスレだったり、恋愛面でもきれいとは言えないので、むしろ少し大人になってから観たほうがいいかもしれない。
監督は『オーメン』や『リーサル・ウェポン』のリチャード・ドナー。脚本は『グレムリン』や『ホーム・アローン』のクリス・コロンバス。さらに総指揮にはスティーヴン・スピルバーグらと、一切隙のない布陣。
もちろん興行的にも大成功で、何度か続編の話も出ている──が「これ以上はない」出来のため、実現には至っていない。それとは別にFCやMSXでゲーム化も。内容はそれぞれ本編とは違うものの、コナミの開発したFC版はメディアミックス系の中では好評の部類。
開発の手が迫るグーンドックス最後の日。主人公・マイキー属する少年団グーニーズは、海賊・片目のウイリーの宝の地図を発見。数々の罠や、宝の横取りを狙うフラテリ一家を撃退し、財宝の一部を手に入れる。ほとんどの宝物は失われてしまったが、彼らはそれ以上に大切な未来を手に入れていた。
本作の主人公。体が弱く、吸入器を常用している。とはいっても悪ガキ集団『グーニーズ』のメンバー。好奇心が強く、ここぞというタイミングで適切な選択をしていく。気の強い仲間が怖気ずくような場面でも怯えないのは、死を身近に感じているからだろうか。
マイキーの兄。態度や口は悪いものの、なんだかんだ弟思いで、面倒見も良い。アンディに好意を寄せているため、彼女のお願いを聞いて酷い目にあったりもする。
グーニーズのおしゃべり担当。基本的に悪態をついたりと行動がトラブルを呼ぶものの、宝探しを続けようとするマイキーを止めたりと常識的な一面も。宝探しでは地図のスペイン語翻訳をこなすなど、やはり『口』に関連した活躍を見せる。
グーニーズのデブ、もとい良心担当。マウスとは別の意味で悪名高く、町ではオオカミ少年的存在として知られている。その他にもよく物を壊す、人のものを勝手に食べるなどトラブルを呼ぶ性格。しかし心根は優しく、のちにそれがマイキー達を救うこととなる。なぜ俳優と同じ苗字なのかは不明。
グーニーズの発明担当。ピンチになるたび発明(未完成)で何かしてくれる。だいたい場を和ませる程度の性能だが、万能フックだけは文字通り命を何度も救った。発明(失敗作)は父ゆずりと思われる。
フラッテリーとも。ガチの犯罪一家で、殺人をもいとわない。ママ・ジェイク・フランシスの三人とも、子供たちに一切手心を加える描写はない。その根こそぎ精神ゆえに、最後にトラップを発動させ、逮捕されてしまう。
グーン・ドックに宝物を隠した元海賊。一度は探検家・コパーポットを撃退するも『似た者同士』のマイキーに罠を全て突破され、宝を渡すことに。生まれつきの片目で、グーニーズの仲間。
牢獄にて一人の男が自殺している。胸元には『関係者各位(TO WHO IT MAY CONCERN)』と書かれた手紙。看守が開くと、
「アホめ。俺が自殺すると思うのか?」
顔を上げるとニッコリ笑顔の男が。看守は男が持っていた配管のようなもので気絶させられてしまう。
外では別の男が灯油を撒いている。どうやら脱獄犯のお仲間らしい。
「来たぞ!」
脱獄は計画的な犯行だった。しかし車のドアが開かず、脱獄犯はサンルーフから乗り込む。何気ないシーンでもアクションが盛り込まれていることで気分が盛り上がる。
助手席の男が発砲。引火して看守たちが出遅れる。もちろん警察からも追手がかかり、オープニングクレジットを交えながらのカーチェイスが繰り広げられる。主要人物たちが面白おかしく生活、三者三様にカーチェイスを目的することに。
脱獄犯たちが逃げ続けるさなか、突然車を止める運転手。
「焦らなくていい──運転はママに任せな!」
セリフの通り万全な作戦が用意されていた。そのまま逃走車は浜辺のカーレースに紛れ込み、見事に逃げおおせる。
『グーン・ドックス』のグーン(退屈)に物申す主人公・マイキー。そこにマウスがやってくる。
「冴えない顔するなよ。俺たちグーニーズの最後の週末だぞ。最後を飾ろうぜ」
そう思ってたけど──と、兄・ブランドが運転免許を取れなかったことが明かされる。次にやってきたのはデブのチャンク。
「すごいもの見たんだ! 家に入れてくれ」
興奮するチャンクに対し、マウスは執拗に踊れと強要。ついにチャンクは踊りだす。みかねたマイキーが装置を作動。
ボールが落ち、バケツが下がり、風船が膨らみ、鶏が卵を産み、ハンマーがラグビーボールを打ち出し、スプリンクラーが回転──その運動で紐が巻き取られて柵が開く。自分たちで作ったのだろうか。
やっと語れるとばかりにカーチェイスを見たとまくしたてるチャンクに、過去の嘘を並べて相手にしない3人。
そこに第3の刺客・お隣さんのデータが「テスト飛行」と称して空から突入。網戸を壊してしまう。
【立ち退き】という大きな問題が提示されることとなる。
タイミング悪く母が帰宅。データがドアを壊したことには触れず、お手伝いのロザリータを紹介する。
マウスがスペイン語の通訳を買って出るものの、
「ドラッグを整理して」「屋根裏は立ち入り禁止。SM道具が入ってるから」「怠けたらゴキブリと一緒に閉じ込める」
などと出鱈目を言ってロザリータを困惑させる。
「この家イカれてる」
呆れ気味のロザリータを連れ、そうとは知らない母は買い物へ。
グーニーズは立ち入り禁止を言い渡された屋根裏に良いものがないか探しに行く。止めるのはマイキーだけ。
まるで立ち入るなと脅すかのように轟く雷鳴。
そんな不穏な雰囲気の中、ブランドが海賊の描かれた本を見つける。
「全部ガラクタだ」
と決めつけるマイキーがしかし、埃にまみれた地図らしきものを見つける。
1632と書かれた数字。どうやら海岸線の地図らしい。書かれている文字はスペイン語──ここにきてマウスのスペイン語スキルが生きる。
「侵入者どもよ、注意せよ。恐ろしい死と悲しみが、血に染まった盗人を襲うだろう」
子供が遊びに使う地図だとブランドは相手にしない。
「片目のウイリーの地図だとさ」
マイキーはその名前に聞き覚えがあった。
「パパが毎晩聞かせてくれた」
そらで物語を朗読し始めるマイキー。
「パパの話は本当だよ」
興味を失って離れかけたチャンクが、今度は新聞の切り抜きを見つける。
「チェスター・コパーポット、宝探しに出かけたまま行方不明」
彼はどうやら片目のウイリーの秘密を知っているらしい。
マウスとブランドは相手にしようとしない。
「グーニーズの冒険はもうたくさんだよ」
チャンクも乗り気ではないが、
「でも、もしこの地図が本物で、宝が存在すれば、僕たちは追い出されずに済む──」
一縷の望みに賭け、マイキーは地図とプレートのようなもの(穴の開いた金貨)を持ち出す。
そこにブザーを鳴らしてやってきたのはエルギン・パーキンス。どうやら立ち退きの書類にサインしてほしいらしい。
このままでは、ここは本当にゴルフ場になってしまう──。
だが街を見渡すマイキーの目は諦めていなかった。ブランドも心配そうに出てきて、引きずるように家に連れ帰る。普段は邪険な態度をとっていても、やはり兄は兄。弟想いなのである。
「宝物が見つかれば借金が返せる。パパやママが頑張るだけじゃダメだ。何とかしないと、ここがゴルフ場になる」
いくら母やブランドが外に出るなと言ったところで、マイキーの──グーニーズの心は決まっていた。少年組の4人はエキスパンダーでブランドを拘束、宝探しに飛び出してしまう。自転車のタイヤの空気まで抜く用意周到っぷり。マウスの頭のキレは後々役に立ちそうだ。
ママが帰宅するも、また変な運動をして、と一蹴。ブランドは報われないものの、それでもすぐさま4人を追いかける……データの妹から借りた自転車で。
補助輪付きの小さな自転車にまたがった姿が哀愁を誘う。タイミング悪く、そこをエルギンの息子・トロイたちに見つかる。馬鹿にしたトロイがブランドの腕をつかみ、自転車ごと引きずられることに──どこまでも運がない。やっと拘束から逃れるも、そこはカーブ寸前。自転車のブレーキで間に合うはずもなく、ブランドは崖に飛び出してしまう。E.T.を意識しているのかは不明。
一方、海岸線に到着したマイキーたちは地図と符合する場所を見つける。全てが地図通り──しかし目的地らしきレストランには先客が。夏のレストランが秋に開いているのはおかしいと怯えるチャンクをデータが説得。今度は銃声まで聞こえてくる。
「誰かが壺を落としただけだよ」
絶対にそんなはずはないのに、チャンクをなだめる面々。しかもレストランの中には怪しい大人たちが。別行動をしていたチャンクは弾痕のあるジープを見つけ、
「大変だ!」
意外に頭の回転が速く、朝の事件と車を結び付けたチャンクが皆を止めようとするも、フラテリ一家のママに見つかってしまう。店に通される面々。絶体絶命かと思いきや、マイキーが「トイレに行きたい」と機転を利かせてレストランを探索する。その地下に、冒頭で脱獄した男──ジェイクと、鎖に繋がれた別の男が。ジェイクの歌がいい声すぎてちょっと気が抜ける。
ジェイクが立ち去り、マイキーは食べ物を求める鎖の男にそっと食事を差し出す。喜び狂う男に怯え、地下を後にしたマイキーを捕まえたのは──彼の兄・ブランドだった。元から追い返す気だったママは、5人をあっさりと開放する。
レストランの外でマイキーは地下の男のことを必死に訴えるも、誰も相手にしない。しかしそこに車がやってきて、
「なぜ殺した」「警察」「車の中で撃てばいいのに」
と不穏な会話をしながら怪しい袋を積み込むフラテリ一家。
「もう帰ろう」
チャンクの提案にマイキーは、
「家はあと数時間でなくなる。僕らが宝を探すしかないんだよ」
フラテリ一家をやり過ごしたところに、アンディとステフがブランドを追って5人を驚かせる。どうやらトロイが気に食わなかったらしい。驚いたのも早々に、マイキーたちはレストランに戻ろうとする。
しかし当然鍵がかかっていて入ることができない。そこでマウスがチャンクを挑発。
「お前のお袋の裸の写真、安く売ってやろうか」
激高したチャンクの体当たりがドアにヒット! 見事潜入に成功する。
引き留めようとするブランド。しかしそこに、外で魚の死骸に襲われたと勘違いしたアンディとステフが駆け込んでくる。ボロっちいわ照明をつければ爆発するわで、明らかに普通の場所ではない。
少しだけレストランを探索させてほしいと頼む4人。渋るブランドに、なぜかアンディが甘えて説得する。
「話が分かる姉ちゃんだ!」
4人は許可も得ずに地下へと進む。不気味な声──あいつだ。
レストランに戻る直前にも吸入器を使っていたマイキーだが、明らかに空気の汚いこの地下では特に問題にしていない=本来必要ない、と気付けるシーン。
「俺は怖いからやめておく」
とマウスは素直に告げるが、結局一緒に行く。行かないのはブランドとアンディだけ──結局アンディはブランドと一緒にいたいだけらしい。
本当にいた恐ろしげな男を前に、一同は一旦撤退。別の部屋で宝物の気配をかぎ取る。
地図をもとに階段の下を掘ろうとするマイキー。またチャンクを利用しようというマウスの提案に怒り、チャンクがウォーターサーバーを倒してしまう。そして──こぼれた水が流れ出る先の暖炉にあったのは、さらに下へ向かうための穴。
ずっと何かをいじっていたデータは偽札印刷機を発見。家を救えると叫ぶも、ぬか喜びに終わる。
「もう付き合ってられない。お前らなんてどうせ病院送りだ……ん?」
帰ろうとしたチャンクが見つけたのはアイスクリーム──と、凍った男の死体だった。
これでは宝探しどころではない。しかし引き返そうにも、タイミング悪くフラテリ一家が帰ってきてしまう。
急いで部屋を元に戻す面々と、冷凍庫に死体と一緒に閉じ込められるチャンク。ちょっとかわいそうだが、蔑ろ具合も面白い。
「もう暖炉を抜けるしか道はない──ここが本当に入り口だよ」
間一髪、暖炉に逃げ込んだところに一家が到着。目ざといママがウォーターサーバーが壊れれていることに気付き、例の男の様子を見に行く。その間になんとかチャンクも窓から脱出。
一同は地下へ。そこでステフの眼鏡が壊れてしまう(直前のカットまでかけていたので、単に足元に落としたと思われる)。データの発明で明かりも確保。しかしすぐにバッテリー切れに。なんとも良くない滑り出しだが、こうして真の冒険が幕を開けることとなった。
一方のチャンクは無事に逃げおおせ、車通りのある道に出る。そのうちの一台を呼び止めて、
「フラテリ一家を見つけたから警察まで乗せてください」
車内の明かりがつき、現れた顔は──フラテリー家の長男・ジェイクだった。またまた良い声で歌う彼を前に叫びだすチャンクの顔がかわいそうだが面白い。もちろん逃げられるわけもなく捕獲される。
マイキーたちはランプを手に入れる。同じ部屋に幾本も水道などのパイプが通っていて、
「叩けば聞こえるはず!」
と無茶苦茶に叩きまくる。しかし通じていたのはテニス場。水道や風呂場、トイレで次々と不具合が起こり、ついには地下室のパイプから水が噴き出し始める。
チャンクはチャンクで大変な目にあっていた。拷問──といっても、指や手を引き合いに出して、目の前でトマトをミキサーにかけるだけ。ペラペラと喋るも、あまりの荒唐無稽さに一家は誰も信じない。
逃げ込んだ道を進むマイキーたちは、ランプやタバコ──そして死骸と、次々と誰かが通った痕跡を発見していく。
「こんなことならトロイに胸でも見せてたほうがマシだった!」
取り乱すアンディ。現代映画の感覚に慣れ親しんでいると、別にまだ怪我もしてないんだからこっちのほうがマシでは……? とちょっと思ってしまう。
死骸は新聞に載っていたコパーポットだと決めつけるデータ。
「罠だろ、ウイリー?」
葉巻のように吸入器を使うマイキーからは、もはやトレジャーハンターの風格すら感じ取れる。財布の中身から、やはりコパーポットだと判明。
「プロのコパーポットでも出られなかったんだ!」
一同が取り乱すも、マイキーは冷静に道具の中からダイナマイトを見つけ出す。それを使ってフラテリーたちを撃退しようと罠をしかけるデータもなかなかのやり手である。
完全にマウスとブランドは怯えてしまっている中、マイキーは冷静そのもの。コパーポットの首が外れるのもお構いなしで、キーアイテムと思しき首飾りを自分のものとする──頭を戻すのも忘れずに。
そこで大岩の落ちる罠を発見──既に作動してしまっているも、マイキーはランプをしっかりと回収する。
「何かいるぞ」
弟にいい役を取られたのを挽回したいのか、ブランドが先陣を切って岩をどかせる。中からは大量の蝙蝠が! 探検モノの様式美とも言えるトラップに驚く面々。
影響は洞窟で繋がっているレストランにもあった。チャンクが今にもミキサーに手を突っ込まれる寸前、蝙蝠が逆流し始めたのである。ここに至ってフラテリ一家はチャンクの言葉が嘘ではなかったと気づいてしまう。自分のほうがピンチなのにも関わらず、チャンクは、
「逃げろマイキー! フラテリが行くぞ!」
速攻でバラしてしまった彼なりの贖罪なのかもしれないが、ちょっと男らしい。
もちろんマイキーたちには聞こえていない。
「怖かったら僕の手を握りなよ」
怯えるアンディを導くマイキー。男前である。たどり着いたのは金貨と銀貨の貯まった滝。図柄は『リンカーン』『ジョージ・ワシントン』『ケネディ』とバラバラ。しかも地図の年代よりも新しいものばかり。それもそのはず、そこは公園にある願い事を叶える井戸だとステフが気付く。そういったコインを投げ込むトレヴィの泉的風習はどの国にもあるものなのだろう。
持って帰るのはよそうというステフの提案に賛成する中、マウスだけは、
「俺の願いが叶えてもらえなかった分は回収していく」
見えない宝よりも現実を見ていてシビアな性格がうかがえる。
「ウイリー、これも罠のうちなのかい?」
対照的に、マイキーはウイリーを信じている。
時を同じくして、はるか上方──アンディたちと別れたトロイが悪友たちと井戸にたむろしている。
「願いは──アンディと『C』を」
下から投げ返されるコイン。さすがに誰かいるとトロイも気付き、誰かいるのかと呼びかける。
「バケツをおろして!」
アンディの頼みは素直には聞かず、
「早速願いが叶ったぜ」
下種な笑みを浮かべるトロイたち。
フラテリ一家はチャンクを監禁している男と同じ部屋に閉じ込め、暖炉の通路へ。チャンクはローレンスと本名を名乗り、すぐに男と打ち解ける。
我先にと井戸から脱出を試みるメンバーに、マイキーが演説する。
「僕らはその道のプロのコパーポットより先に進んだ。絶対に宝を見つけられるよ!」
その前に誰かが怪我をしたり死んだりするとアンディ。
「バカ言うな。僕らはグーニーズだ!」
私はグーニーズじゃない──たしかにその通りではある。だが、
「そうだったね……。でも、もう一度空を見れたとして……それは、別の町の空だよ」
そう。彼らには一緒にいる時間はもう残されていないのだ。
「次に僕らが受けるテストは、別の学校のテストだよ。パパやママは僕たちを愛している。けど、今は自分の戦いで手一杯のはず──懸命に戦ってるんだよ。僕らもここで戦わないと、それは嘘だろ!?」
ステフ、マウス、ブランド、そしてアンディ、データは意思を確かめ合うようにお互い顔を見合わせる。
はたして井戸から上がってきたバケツには──アンディの上着だけがかけられていた。
「グーニーズめ!」
目論見が外れ、逆恨みの叫びをあげるトロイ。
レストランでは男とすっかり打ち解けたチャンクがチョコレートを投げ渡す。しかし渡し損ねてチョコレートは床へ。激高した男は我を失い、なんと繋がれていた鎖を壁から引き抜いてしまう。
「びっくりだよ。僕よりがっつくじゃん」
さすがのチャンクも相手の力量(?)を認めるほど。
男は自分のことをスロースと名乗る。ちょっと小突いただけで太っちょのチャンクを転ばせるほどの力が──グーニーズの新たな戦力になってくれることだろう。この新しい仲間は意思疎通も意外にでき、愛嬌も抜群だ。
フラテリ一家が追っているとは知らないマイキーたちは、マウスの翻訳でゆっくりと地図を解読していた。
『コパーの骨』『西へ流れる』『3つの山』
「これがコパーの骨だ」
コパーポットの首にかかっていたペンダント(?)を見てマイキーが断言。今はそう信じるしかないだろう。
「あんな弟じゃなくて妹が欲しかったよ……」
嘆くブランドなどお構いなしに仕掛けを解いていくマイキーたち。見事、3つの山がコパーの骨にはまり、
「やったぞウイリー!」
叫びながらマイキーはコパーの骨を西の方角に回す。するとどうしたことか、回していた手が固定され、鉄球がレールを伝って転がり落ちてくるではないか!
「危ない、落ちてくるぞ!」
しかし、落ちたのは鉄球ではなくデータだった。鉄球のほうは仕掛けを動かすためのフェイク──本当の罠は落とし穴だった。
もちろんタダでは起きないデータ。万能フック(フックは入れ歯)を使い、見事に串刺しトラップを回避する。
「なんだろう、この部屋」
次なる道は落とし穴の先だ!
スロースの助けにより拘束を外したチャンクは、みんなとの約束を守って警察に通報する。
「灯台のレストランで殺人です!」
「また君か、ローレンス」
普段の行いが災いし、フラテリ一家の名前を出しても相手にしてもらえない。
イランの過激派、水で繁殖する悪魔(グレムリン?)など、過去の悪行が明らかになる。
警察は頼りにならない──フラテリ一家を追う形で地下通路を進むチャンクとスロース。水のパイプが壊れているのを見つけ、
「マイキーたちが通った証拠だ!」
スロースが邪魔なパイプを上にどけると、車のブレーキ音、女の叫び声、パトカーのサイレン……どうやら大変なことになったらしい。
「オッオーゥ」
さすがのスロースも状況が分かったらしく、怪人顔ながらやっちまった感が出ていて面白い。
唐突なトイレタイムを取ったマイキーたち。
「こんなところで本気なの?」
何かを心配するステフを説得して、アンディがブランドを呼びだす。
「ここよ……」
しかし呼び出しに応じた(行かされた)のはマイキーだった。視聴者にはシルエットしか分からないが、熱烈なキスで迎えられてしまうマイキー。状況が分かっているステフだけが大笑い。アンディは目を閉じていたのでマイキーだと気づかなかったのである。
そうこうしているうちにフラテリ一家が追い付いてくる。いち早くブランドが気が付き、一家が縦穴に手間取っている間に距離を離す。
途中の川には船のマストをかけたような橋が──終点は案外近いのかもしれない!
お互いの顔を視認できる距離まで追いつかれ、データが橋に策を講じる。
「スッテンコロリンだ」
さすがのデータ。なんと潤滑剤のようなものを靴底に仕込んでいたのだ。銃を撃ってまで追いつこうとするも、次男のフランシスがトラップの犠牲に。さらに続いたジェイクも二の舞になり、追跡が一時中断する。
マイキーたちが進んだ先には、骸骨などで作られた不気味なオブジェが。
「オルガンで正しい音を弾け──さもなくばムエルト(死)だ」
ピアノを習っていたというアンディが嫌々ながら演奏。正しく弾けば道が開け、間違うと床が抜ける仕掛けらしい。
フラテリ一家が迫り、焦るアンディを皆がサポート。部屋に入ろうとしてきた一家はデータが油断したふり(?)をして飛び出すパンチでノックアウト!
「間違えたらペシャンコだ」
事態は切迫しているはずなのに、なぜか笑っているマイキー。0か1かの精神が本当にかっこよく、頼もしく見える。
間一髪、演奏を終えて追跡を振り切ったその先は、なぜかウォータースライダーになっていた。
滑り降りた先には父が話していた通り、片目のウイリーの海賊船が。宝は本当に存在するのだろうか……。
しかしどれだけ探しても目当ての宝は見つからない。落胆しかけていたところ、アンディが人形を拾い上げ、仕掛けが作動。
「ウイリーだ!」
書いている文章を読みもせず、板を突き破ってその先へ。
マイキーが立ち入ったそこには──多くの骸と、大量のお宝が! ついに、その場で力尽きていた片目のウイリーとの出会いが果たされたのだった。
「やあウイリー。僕はマイキー。たどり着いたよ。あんたとの知恵比べに僕は勝ったんだ」
めくりあげた眼帯の下に眼窩はなく、骨で埋まっていた。ウイリーは怪我で片目になったのではなく、生まれつきの片目だったのだ。
「僕らは似てる。あんたも"グーニーズ"の一員だよ」
思い返せば自宅の装置はウイリーのそれとそっくりだ。
笑みと涙を浮かべるマイキー。その背後には、いつの間にかグーニーズの面々が揃っていた。
「彼が片目のウイリーだ。みんな挨拶を。彼もグーニーズの仲間だから……で、いつからここに?」
「さっきからずっといたよ」
告げるブランドに弟を嘲る調子はない。一人の男として認めた瞬間だ。
呆然とするメンバーに宝を持ち出すよう指示を出すマイキー。でも天秤の金貨だけはウイリーのもの。彼だってグーニーズの仲間──平等に分け合うべきだ。
そこに襲撃をかけてくるフラテリ一家。
データが応戦するも、やはり子供。一応被害は出すものの、マイキーたちは全員捕まってしまう。宝はすべて巻き上げられ、マウスが口に入れていた宝石さえも暴かれてしまう。マウス(おしゃべり)のくせにやたら静かだというのだから、ママの観察眼に感服だ。
まずはお前からだと突き落とされるアンディ。男らしくブランドがそれを追って水に飛び込む。
「次は誰だい?」
もう宝は諦めるしかないのだろうか──その時、天から声が降ってくる。
「助けにきたよー!」
チャンク──と誰!?
「どうしてスロースがここに!」
慌てるママ。
「スロース、みんなを助けて!」
チャンクの頼みを聞いて果敢に戦うスロース。
「キャプテン・チャンク様の参上だ!」
勇んで宣言するも、次なる作戦は『逃げる』。全員が海に飛び込み、スロースが一家を引き付ける。一瞬捕まってしまいそうになるも、着ていた服を破り捨て、逞しい肉体を露にする。残ったシャツにはスロースの『S』。どう見てもスーパーマンだが……(しかも露骨にテーマが鳴る)。
さすがのママを目を剥き、ジェイクとフランシスは戦意を喪失。お互いアイツのほうが悪いと仲間割れしたところをスロースにやられてしまう。
「二人はこうしてやるよ、ママ!」
楽しそうにスロースは二人を吊り上げる。
「こっちへおいで、ベイビー」
ついに母性に訴えかけるママ。
「ママ、あんたは悪い奴だ」
「違う。あんたを鎖に繋いだのはあんたのためだよ」
兄弟に目くばせをしながら子守唄で気を引き──しかしそれで思い出したのは昔、ママに落とされたことだった。顔が崩れているのはそのためらしい。
ママを水に投げ落としたスロースを歓待するグーニーズ。
しかし形勢逆転はここまで。やむなく宝は諦め、洞窟からの脱出を試みる。
だがフラテリ一家が栄えることもない──マイキーがそっとしておいた天秤の宝まで取ってしまい、罠が発動。洞窟が崩れ始める。
データが唯一の脱出口と思しき場所を爆破するも、大岩でふさがれてしまう。
どうあがいても無理なのか──しかしスロースが大岩を持ち上げる。
「逃げて!」
それを見たママがスロースに助けを求める。声にならない叫び、そして、
「チャンク!」
「スロースも早く!」
「スロースはチャンクが好き」
その言葉を最後に、彼は大岩を元に戻してしまう。スロースの巨体では、どうあっても小さな穴は通り抜けられないと分かっていたのだろう……。
そして最後の仕掛けが動き出し、なんと船に明かりが灯される。
洞窟から脱出したマイキーたちは警察に保護される。宝よりなにより、子供たちの無事を喜ぶ大人たち。
「写真は何枚撮ってもだけないよ」
「お前はパパの最高の作品だ」
発明が失敗していた父へとデータ。さりげなく最高のセリフが入るのがニクい演出だ。
ステフに素直に礼を言うマウス。
宝を持ち帰れなくて落ち込むマイキーをアンディが慰めるも、同時に失恋(にも満たない何か)を経験することになり、呼吸が荒くなる。しかし、
「こんなもの」
吸入器を手放す。もうそんなものがなくても、彼は十分やっていけるのだろう。
そこにノコノコと現れるフラテリ一家、とスロース! やはり優しい彼は助けてしまったのだろう。
「僕と一緒に暮らそう、スロース」
「スロースもチャンクが好き」
きっともう、スロースが薄暗い部屋で鎖に繋がれることはないはずだ。
めでたしめでたし──とはならない。
この物語のきっかけ、エルギン、トロイのパーキンス親子が取り立てにやってくる。
「家を明け渡してもらおうか」
血も涙もないのだろうか。
「ごめん、パパ。家を救えなくて。もう少しだったんだけど……。僕らの命を優先したよ」
自分の語った夢物語を覚えていて、しかも本当に宝を見つけた息子がさぞ誇らしかったことだろう。父・アービングは、
「お前たちが無事に戻った。それだけで私たちは町一番の金持ちだよ」
「違うな。町一番の金持ちは私だ。サインしろ」
互いに別れを惜しむグーニーズ。そこでマイキーの服を片付けていたロザリータが何かを見つけ、伝わらないスペイン語で訴えはじめる。
「ペン、ダメ……? サイン、サインするな!」
マウスが通訳、興奮した様子でロザリータが持ってきたのは、マイキーのビー玉袋。どうやら服の奥に入れていて、それだけ無事だったようだ。中からは大量の宝石が。
「パパ、僕たち出ていかなくていいんだよ!」
「もうサインなんてしないぞ! 永久に断る!」
同意書を破り捨てるアービング。興奮気味に大人たちから宝石の出所を尋ねられ、正直に話すも、やはり誰も信用しない。
「待て、あれを見ろ。なんだあれは!」
しかし、グーニーズの証言を裏付けるように、海賊船が大海原へと旅立っていくではないか。それを見つめ、マイキーが投げキッス。
「ウイリー、ありがとう」
多くの財宝はどこかに行ってしまった──けれど、グーニーズは宝とは比較にならないほど素敵な冒険の記憶、そして仲間たちと同じ空の下で迎える【明日】を手に入れたのだった。
タイトル | グーニーズ(Goonies) |
脚本 | クリス・コロンバス |
監督 | リチャード・ドナー |
総指揮 | スティーヴン・スピルバーグ |
公式サイト | https://www.thegoonies.com/default.aspx |
Photo by:IMDb