真っ赤な箱に笑顔の少年。ビスコはいつもそばにいた。嬉しい時も悲しい時も、小腹が減った時も、酒の肴……はどうだろうか? とにかく、物心ついた時から我々を見守ってくれている。身近すぎて紹介が遅れたが、今回は『彼』と今一度向き合ってみたい。
ご存知の方がほとんどだと思うが一応説明しておくと、ビスコはクリームを2枚のビスケットでサンドしたお菓子である。味や食感がやさしく、ボーロ系や赤ちゃんせんべいなどを卒業して初めて食べる本格的なお菓子候補の一つだ。
かくいう私も不二家のポップキャンディとビスコばかり食べていた覚えがある。体が作られていく時期によく食べていたからか、未だに間食ではビスコが食べたくなる率が高い。たぶん脳が必須食品だと認識しているのだろう──などと考えるぐらいの好物だ。今回は、そんなビスコについて、拡大版でお送りしよう。
商品の名称は【ビスケット】。販売元は【江崎グリコ株式会社】、製造所は【関西グリコ株式会社 神戸ファクトリー】となっている。手持ちの製品全てが一緒だった。
製造所について気になったので調べてみたところ、公式サイト内の記事で語られていた。やはり全てのビスコは神戸で作られているようだ。そういった記述は特に見つけられなかったが、ビスケット=舶来=神戸というストーリーがうっすら見える気がする。が、たぶん関係はない。
ビスコを駄菓子に含めるかどうかは諾否あるかもしれない。多くの方々がイメージする駄菓子には、ともすればチープともとれる(実際にそういう商品も多い)包装に、首をかしげたくなる名前、怪しげなキャラクター、体に悪そうな色、極端に低価格、といった要素が含まれているはずだ。そして、そこが魅力の一つなのである。
対するビスコは、頑丈な箱の中に5枚ずつの個包装、はつらつとした少年のイラスト、健康を意識したフレーズがパッケージに並び、the 健全と言いたくなる。そう──ビスコは駄菓子と呼ぶには、あまりにちゃんとしすぎている。
だが待ってもらいたい。ビスコはパッケージこそ立派だが、実写タッチで描かれた少年は、いかにも駄菓子特有の『深く考えると気になってくるキャラクター』ではないだろうか。【ビスコ】という名前も、ビスケットのビスは分かるが、コはどこから来たのだろうか。そして113円(税込み)と箱入り菓子の中では圧倒的に安い。
これらの要素から、私はビスコを駄菓子、それも上級駄菓子と位置付けている。駄菓子の通販サイトでも売ってるし。異論があればそちらに言ってほしい。
ビスコが駄菓子ということを分かってもらえたところで、詳細を見ていこうと思う。まずはパッケージ。真っ赤な箱に白抜きの円で、非常に目立つ。スーパーなどでも遠目に一目でそれと分かり、常食している身としてはありがたい。
同系色にポッキー・ガーナ・プリングルス・キャラメルコーンなどがあるが、どれも形が違うので、間違って買ってしまって、子供や孫に嫌われる心配はないだろう。
様々なお菓子のパッケージが時代と共に変更されて賛否で迎えられる中、実はビスコの基本デザインは登場時から変わっていない。令和に生まれた子供に数年後見せても「ビスコ!」と答えるはずだ。トレードマークの少年は箱の裏面にしかいないが、最初から完成されていたということだろう。
ブラッシュアップを経て現在のデザインへと至ったわけだが、最初期版を見ても古臭さを感じないのがすごい。むしろモダンで、今出しても通用する。グッズを出してくれたら間違いなく買うし、売れる。グリコさん、どうだろうか?
ビスコの『ビス』がビスケットの『ビス』なのはまず間違いないだろう。間違ってもネジの『ビス』ではないはずだ。一瞬だけビスケット外周のひだをビスで刻んでいる様子を思い浮かべたが、絶対違う。というか答えはまたもや公式のQ&Aに書いてあった。ちょっと充実しすぎではないだろうか。もっといえば最初期の箱を見れば連想できるようになっていた。
『酵母入りビスケット』→『こうぼビス』→『コービス』→『ビスコ』と遷移していったようだが、昭和初期のセンスだとコービスで発売してしまいそうなものである。偏見だが、それのほうが関西っぽい響きな気もする(グリコの本社は知っての通り大阪だ)。
ビスコはグリコとも響きが似ているし、語感もオシャレだ。パッケージデザインといい、この辺のズバ抜けたセンスの良さが時代を生き抜く秘訣なのかもしれない。
最初期パッケージから分かるように、ビスコの歴史はとても長い。誕生は1933年(昭和8)、つまりは90年近い歴史があるということだ。ざっくり計算すると、日本だけで1億人以上が子供だった頃から存在していたことになる。男女問わず、ほとんどの年代で8割が食べた経験があるようだ。
これより古いものとなると、あんこ玉や都こんぶ、ニッキ紙といった少しワイルド(?)な加工菓子とは違ったものばかりになってくる。明治のカルミンが最近生産が終わってしまったため、上級駄菓子としては最古参にあたる。
前述の通り、ビスコには他の駄菓子とは一線を画した、優等生めいた印象がある。それはビスコが栄養菓子として誕生したからなのかもしれない。まだまだ栄養が少なかった時代に、子供が喜んで食べて、さらに健康になれるようにと考えられていたようだ。これなら駄菓子がダメな厳しい家の子でも、ギリギリ許してもらえたに違いない。そういう意味でも完璧なブランディングといえるだろう。
ちなみに、発売当初の値段は1箱10銭だったようだ。貨幣価値を考えるとそこまで値段に変化はないように感じる。
箱入りという他に、私がビスコを上級駄菓子と呼ぶもう一つの理由が栄養だ。ビスコにはカルシウムにビタミン、さらには乳酸菌が1億個も入っている。ちょっと想像できない数字だが、ただ事ではないのは分かる。
さらに乳酸菌は生死問わず効果があるらしいが、ビスコの乳酸菌は体内に入ってから発芽するタイプとのことなので、確実に生きて腸まで届くようだ。
ちなみに1億個は5枚当たりなので、1枚当たり2000万個の乳酸菌が含まれていることになる。高い撹拌技術がそうさせるのだろうが、1億個と断言できるのがすごい。偏って9000万個とかにならないのだろうか。ビス個などと連想した人は申し出るように。
ジャンルが違うため比べる対象が悪いかもしれないが、同社の販売していた『うらないっこフーセンガム(※現在は販売終了)』と比較すると、エネルギーだけで1箱5倍もの違いがあった。さすがは栄養菓子を標榜するだけあるというものだ。
値段は約1.5倍(ガム60円/ビスコ90円)だが、それでもガムと比べると3倍も栄養がある。それに加えてビスコにはビタミンやカルシウムも入っているため、一般的な駄菓子と比べると、いかに栄養が豊富か分かるだろう。というか、そもそも駄菓子には栄養の表記がない場合が多い。意識が違うのだ。
最近みかける『さあ、ビスコでもうひとがんばり』というキャッチからも栄養へのこだわりを感じる。実際朝や夕方に食べるとかなり元気が出るので、読者諸兄も試してみてはいかがだろうか。
駄菓子のパッケージには、怪しげなキャラクターがつきものだ。クッピーラムネの動物しかり、キャベツ太郎のカエルしかり、その正体は謎に包まれていることが多い。先にも少しだけ触れたが、ビスコの箱にも一人の少年の顔が描かれている。美味しそうにビスコを食べている彼は一体誰なのだろうか。
彼の名前は『ビスコ坊や』。特にモデルはいないとのことだ。……もう一度上の画像をよく見ていただきたい。最近ビスコはご無沙汰だという方は特にじっくりと。いかがだろう? 彼に見覚えはあるだろうか。微妙な違和感を覚えたはずだ。それもそのはず、彼もモデルチェンジしていたのだ!
なんと、現在の『ビスコ坊や』は5代目だったのだ。言われてみれば、どう見ても髪型が現代風カットだ。新しくなっていないはずがない。さすがに私も昭和8年のことは分からないが、きっとビスコ坊やはその時々の少年像に合わせて変化しているのだろう。よくいる少年としか認識していなかったので目から鱗である。
こういった細かな変化が感じられるのも歴史の長い駄菓子ならではの楽しみだ。この機会に、どの坊やに馴染みがあるのか、周囲に聞いて回ってみても面白いかもしれない。
個人的には毎日デスクの横にいるので今のビスコ坊やが完全に見慣れてしまったが、3代目のドヤ顔が好きだ。「デキる男はビスコ」みたいなパワーを感じてスカッとする。
5代目はまだ現代風と思えるが、平成の終焉と同時の刷新は十二分にありえる。案外世相を反映して『ビスコお嬢さん』版が出たりもするかもしれない。今から気にしておこう。
現在、ビスコには派生商品が次々と誕生している。手元にあるものは実食を交えて解説させていただこう。どれも本当に美味しくてハズレがない。
ご存知ビスコの≪赤箱≫。食べると「これこれ」となる。子供の事を考えてか、そこまで甘すぎず、いくらでも食べれてしまう。一つ一つは思ったよりも小さく、袋を開けた時に5個並んでいる姿は紛れもなく駄菓子のそれ。
ちなみに赤箱は私が勝手につけた呼称だが、こう呼ぶと3代目坊やのような『わかってる』感が出るのでオススメ。交渉の場で「赤2枚だ」という使い方も『本物』っぽいぞ。積極的に真似してもらいたい。
ビスケットの表面にはハートに囲まれたビスコの文字が。こういった無駄に(?)細かいところがさらに駄菓子感を出している。下の画像みたいに分解できるのもポイントが高い。ちなみにこの柄は赤箱だけにしか描かれていない。
ビスケット部分は市販のプレーンクラッカーよりは甘く、香ばしさもない子供が喜びそうな味だ。私も喜ぶ。間のクリームからは微かなレモンの風味を感じる。両方合わせても強い味付けではないため、コーヒーだと打ち消されてしまう恐れがある。香りの強くないダージリンやカモミールなど、主張の少ないドリンクがベストマッチだ。童心に返ってあえての牛乳というのもオツで良い。
ちなみに撮影時に飲み物を用意せずに5枚食べ切ったところ、口の中がパサパサになってしまった。わりと空腹感を満たせることから、かなり吸水して膨らむとみえる。ビスコを食べる際は飲み物の用意を推奨する。
ここでビスコの個包装について触れておきたい。袋のピッチリ具合から分かるように、5枚1セットがちょうど入るように調整されているのだが、これが曲者だ。ポテトチップスなどと違って余裕がないため、袋のギザギザを手で破ろうとすると、ほぼ必ずビスケットが欠けてしまうのである。誤差1mm以内と決まっているため例外はない。そこで試してもらいたいのがこの開封方法だ。
この袋のひだの部分を見てもらいたい。ちょうどビスコのマークがある部分、ここを裂くと、ビスケットを割らずに中身を取り出すことができる。
これはとくに上手くいった例だ。これができると、一日なんでも上手くいく気がしてくる。ビスコの開け方で差をつけよう。
"おねえさんたちにも大人気"らしいヘルシーなビスコ。通称≪グリーンレーベル≫。気付いたら赤箱とセットで売られるようになっていた。2002年の発売らしい──というのも、実はあまり興味がなくて私は食べたことがなかったのだ。
せっかくだからとこの機会に買ってきた。名称はビスケットではなく【クラッカー】。後述のブルーベリーサンドだけだと思っていたが、こちらが先のようだ。
まず一口目に気付いたのは強い塩気があることだ。そして食感の違い。いつものビスコと比べると歯ごたえが良い。クリームのバニラ味は控えめでアクセント程度。少し香ばしくて、食べていて罪悪感を抱きにくい……気がする。おねえさんに人気の理由だろうか。私は普通にコーヒーと食べたが、給湯室で入れた薄い緑茶とか玄米茶とも合いそうだ。個人的には麦茶と食べたい味だった。
元は80周年スペシャルとして期間・数量限定品として販売された、リッチなビスコだ。その後に何度か再販され、2015年に定番商品化された。
生地の発酵バター×クリームのバニラという隙の無い構成で、コーヒーとよく合う。酸味が強すぎないワインであればフィンガーフードにもちょうどいい。大人のビスコ仲間曰く"もはやパティスリー"。
ちなみに後述の焼きショコラと同様に、現在販売されている箱裏にはレシピが紹介されている。ビスコが2枚添えられているだけかと思いきや、底に砕いたビスコがふんだんに使われているらしい。美味しそうだがブルジョア感がすごい。
ずっと見ているうちにスターゲイジーパイ(ニシンの頭が突き出しているパイ)を連想してしまった。こういう謎レシピが載っている駄菓子が他にもあったような……。
もうダメ。これは反則だ。美味しすぎる。今現在私の中でビスコ界の頂点に君臨している。たぶん『チーズ』『プリン』『あまおう』『完熟メロン』あたりがくるまでタイトルホルダーであり続けるに違いない。本当に語るまでもなくウマイ。
騙されたと思ってなどとは言わない。騙されないから未体験の方は今すぐ食べるべきだ。ちなみに発酵バターも焼きショコラもリッチだが、値段は普通のビスコと変わらない。神か。
紅茶やコーヒーはもちろん、チョコレートと親和性の高いウイスキーと組み合わせると、想像以上のシナジーが得られる。ハイボールに対する餃子のようなもので、かなり危険だ。ストレートをオススメしたいところだが、飲みすぎ防止に水割りやフロートにとどめておくべきだろう。
パッケージ裏レシピにダメ出ししがちな私だが、これは絶対に許さない。こんなもの──絶対美味しいに決まっている。卑怯者! クリームチーズなんて捨ててかかってこい!
2018年、完全に大人をターゲットとして発売された、忙しい毎日を送る人々のためのビスコ。どの製品にも必ず入っている乳酸菌にくわえて、そのエサとなる食物繊維も同時に摂れるという完全食だ。いや完全食ではない。心なしか坊やからも「これから一仕事しようぜ」というオーラを感じる。
他より少し値段が高く(税込み140円)、しかも2パック入り。両方合わせて乳酸菌も10億個と、普通のビスコの5倍の数値。ここまでくると数字から圧を感じる。味は<さわやかなヨーグルト味><ブルーベリー&ラズベリー味>の2種類。個人的にはヨーグルトのほうが好きだ。アイスカフェラテとセットで爽やかな朝を迎えられるだろう。
以前から何か違うと思っていたが、生地にビスケットではなくクラッカーが使用されていた。塩味があって普段と違う特別感が気に入っている。ブルーベリークリームには果汁が3%使用されており、他の製品と比べて味の輪郭がはっきりしている。
1パック当たりの重量がシンバイオティクスに次いで多い22.4gと、満足感が得られやすい。乳酸菌も普通の倍の2億個入りだ。ナチュラルローソンの商品を取り扱う店舗でしか売っていないため切らしやすく、割り引きもないのが難点か。ちなみに148円(税込)と3パック入り箱タイプでは最高値。
このほか、駄菓子では珍しい期間限定の味や、個別には売られずアソートパックにしか入っていないカフェオレやいちごなどもあるので、お気に入りを見つけてリピートするといいだろう。
全く知らなかったのだが、ビスコは保存食にもなっていた。脱酸素剤を入れて密封することによって、製造後5年3ヶ月も食べられるという。小麦胚芽を購入する際にたまたま見かけたので一緒に買ってきた──が、食レポはさすがにやめておこう。一度開けてしまうと長期保存はできなくなるようだ。できることなら5年後に新しいのを買って、無事に過ごせた記念に開けたい。
側面には災害用伝言ダイヤルの案内がある。いざという時には活用したい。本来の用途とは違うが、災害時にはとにかく物が足りなくなる。この保存缶はかなり大きめなので、缶自体も色々な使い道があるだろう。
先にもあるように、ビスコは大半の人が親しみを抱いている。そんな国民食ともいえるお菓子でオリジナルグッズが作れてしまうのがスマイルビスコだ。通常ビスコ坊やがいる部分に好きな写真を入れ、文字もある程度自由に設定できるというサービスで、手軽に大量生産することができる。
結婚式のギフトやアニバーサリーに、名刺代わりにと大活躍することうけあいである。ちなみに、画像に権利や許諾があればイラストでも可とのこと。思いがけない使い方もできそうだ。
2018年の8月27日、ついにビスコのファンクラブが発足した。非公式ではなく、公式で、だ。もちろん私も登録させてもらった。新商品の紹介やキャンペーン情報配信、ファンミーティングの開催などが予定されているらしい。
この記事で紹介した以外にも、まだまだビスコには楽しみかたがある。気になった方は私と共に登録して、同志としてサイト上で共有してもらいたい。
余談だが記事を作る上で一度にビスコをたくさん開封してしまい(上写真。少し食べた後)、20個一気に食べたところ、昼食がいらないぐらいおなかが膨れた。普段こんなに同時に食べることはないため、意外な発見となった。こういう食べ方もできるのが駄菓子の良い所だと思う。
品名 | ビスコ |
名称 | ビスケット |
メーカー | 江崎グリコ株式会社 |
原材料名 | 小麦粉、砂糖、ショートニング、乳糖、加糖練乳、全粉乳、食塩、小麦たんぱく、でん粉、乳酸菌/炭酸Ca、膨張剤、乳化剤、香料、調味料(アミノ酸)、V.B₁、V.B₂、V.D、(一部に乳成分、小麦を含む) |
栄養成分表示/1パック(標準20.6g)当たり | エネルギー98kcal、たんぱく質1.3g、脂質3.7g、炭水化物14.9g、食塩相当量0.1g、カルシウム117mg、ビタミンB₁0.08mg、ビタミンB₂0.09mg、ビタミンD0.5μg |
定価 | 113円(税込み) |
公式サイト |
一部画像・情報提供:江崎グリコ株式会社