Tori Script ロゴ
ホーム 映画ジャンル別ガイド 脚本術で読む映画『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』ストーリー・あらすじをラストまでネタバレ解説
映画ジャンル別ガイド 2025/5/9
Written by 鳥羽才一

脚本術で読む映画『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』ストーリー・あらすじをラストまでネタバレ解説

脚本術で読む映画『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』ストーリー・あらすじをラストまでネタバレ解説 のサムネイル

『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』のストーリーを、脚本術「Save the Cat!」の15ビート構成で読み解く! 物語はどう動き、なぜ心を掴むのか──構造を知れば、あらすじは一本の“読みもの”に。脚本というレンズで映画の設計図を覗いてみましょう。

Contents

『スター・ウォーズ 』シリーズとは?

1977年に公開された『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』は、ジョージ・ルーカスによって生み出された壮大なスペースオペラの第一作目。公開当時は単なる『スター・ウォーズ』というタイトルでしたが、その後のシリーズ展開に伴い「エピソード4」という副題が付加されました。

物語の舞台は銀河帝国による独裁が支配する時代。農業惑星タトゥイーンに暮らす若者ルーク・スカイウォーカーが、偶然手にしたメッセージをきっかけに銀河規模の反乱に巻き込まれていく──そんな「古典的英雄譚」の構造を持った物語です。

映画は興行的にも文化的にも大成功を収め、後に9部作(スカイウォーカー・サーガ)として続編・前日譚も展開。さらに『ローグ・ワン』などのスピンオフや、ディズニー+のドラマシリーズへと広がりを見せる、映画史上最大級のフランチャイズへと発展していきました。

本作は、ルークの成長と旅立ち、そしてジェダイの騎士としての覚醒の序章であり、まさに“伝説の始まり”を描いた一作です。

リマスター・再編集版の追加要素

『新たなる希望』は後年、CG技術の進化に伴い「特別篇(Special Edition)」として1997年に再公開されました。このバージョンでは以下のような変更が加えられています。

  • CGによる宇宙船や背景の強化
  • ジャバ・ザ・ハットの追加シーン(元々は削除されていた)
  • 酒場でのグリードとの対決演出変更(通称「ハンが先に撃った/Han shot first」)
  • サンドトルーパーやクリーチャーなど背景要素の追加

これらの編集は賛否を巻き起こしつつも「ジョージ・ルーカスが本来目指していたビジョン」に近づける試みとされ、以後のソフト化・配信版の多くはこのバージョンを基準としています。

『スター・ウォーズ』スカイウォーカー・サーガの年表

『エピソード4』を含む本編(スカイウォーカー・サーガ)の公開順は以下の通りです:

公開年タイトル
1977年スター・ウォーズ(のちに『新たなる希望』)(エピソード4)
1980年帝国の逆襲(エピソード5)
1983年ジェダイの帰還(エピソード6)
1999年ファントム・メナス(エピソード1)
2002年クローンの攻撃(エピソード2)
2005年シスの復讐(エピソード3)
2015年フォースの覚醒(エピソード7)
2017年最後のジェダイ(エピソード8)
2019年スカイウォーカーの夜明け(エピソード9)

この9作品が「スカイウォーカー・サーガ」と呼ばれ、アナキン・スカイウォーカー、ルーク、そしてレイへと続く“銀河の血脈”の物語を形成しています。

Save the Cat!で読む『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』のストーリー構成

オープニング・イメージ(Opening Image)

帝国のスター・デストロイヤーが反乱軍の船を追い詰める。圧倒的な力による支配の象徴として帝国が描かれ、ルークのまだ知らぬ世界の縮図を提示します。

テーマの提示(Theme Stated)

オビ=ワン・ケノービの「フォースとともにあれ」という言葉に代表される、「信じる力」や「運命」というテーマが物語全体を貫きます。

セットアップ(Set-Up)

タトゥイーンでのルークの生活や夢、周囲の人物(叔父叔母、C-3PO、R2-D2)を通して、現状とキャラクターが丁寧に描かれます。

きっかけ(Catalyst)

R2-D2に託されたレイア姫のホログラム。「オビ=ワン・ケノービ、あなただけが頼りです」というメッセージが、ルークの運命を大きく変える呼び水になります。

悩みのとき(Debate)

オビ=ワンに旅への誘いを受けながらも、叔父叔母のところへ戻ろうとするルーク。しかし彼らの死を目の当たりにし、迷いを振り切って旅立つ決意をします。

悩み→出発の教科書的演出

第一ターニング・ポイント(Break into Two)

モス・アイズリーでハン・ソロと出会い、宇宙船で惑星オルデランを目指す。日常の世界を離れ、冒険が本格的に始まります。

お楽しみ(Fun and Games)

デス・スターへの潜入とレイア姫の救出劇。それまで鳴りを潜めていた「冒険」がテンポよく描かれ、シリーズらしさを存分に堪能できるパートです。

サブプロット(B Story)

ルークとレイア、そしてハン・ソロとの関係性。出会ったばかりの3人が行動を共にし、対立しながらも仲間として絆を育んでいきます。

ミッドポイント(Midpoint)

オビ=ワンがダース・ベイダーとの対決で命を落とす。ルークにとって重要な導き手の喪失であり、ここから物語は大きな転調を迎えます。

迫り来る悪い奴ら(Bad Guys Close In)

反乱軍基地への帰還後、デス・スターによる襲撃のカウントダウンが始まります。緊張が高まり、ルークたちの決断が求められます。

すべてを失って(All Is Lost)

デス・スターの攻撃が目前に迫る中、仲間の死や失敗が続き、戦況は絶望的に見えます。

心の暗闇(Dark Night of the Soul)

最後の一撃を放つため、たった1機で突入するルーク。師を失い、仲間にも頼れない孤独な決断に胸が締めつけられます。

第二ターニング・ポイント(Break into Three)

フォースの導きに従い、照準器を使わず直感で攻撃するルーク。ここで信じる力が最大化され、物語のテーマが明確に回収されます。

フィナーレ(Finale)

デス・スター爆破成功。反乱軍が勝利し、ルークが英雄として称えられるラスト。彼の旅立ちは完結し、1つの物語が終わります。

ファイナル・イメージ(Final Image)

ルーク、ハン、レイアが並び立つ表彰式。物語冒頭の無名な農夫だった彼が、仲間とともに銀河の希望となるまでの成長が描かれます。

なぜこの映画は“ただのSF”を超えたのか?

1977年当時、SF映画といえばマニア向けでニッチなジャンルという扱いでした。ところが『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』は、その常識をひっくり返します。

この作品が「普通のSF」や「宇宙映画」と決定的に違ったのは、ジャンルの融合と、物語のわかりやすさにありました。

冒険譚×神話構造=誰でも楽しめる物語

ジョージ・ルーカスは、神話学者ジョーゼフ・キャンベルの『千の顔を持つ英雄』に影響を受け、普遍的な英雄の旅”の構造を物語に組み込みました。

  1. 平凡な若者(ルーク)が
  2. 不思議な導き手(オビ=ワン)に出会い
  3. 世界の真実を知り
  4. 仲間を得て
  5. 試練を乗り越え
  6. 運命を受け入れ、成長する

この古典的なプロットが「難しいSF設定」ではなく「親しみやすい冒険もの」として多くの観客に届いた理由です。

特撮と音楽の“次元が違う”

さらに革新的だったのが、当時の最先端をはるかに超えた映像技術と、ジョン・ウィリアムズによる壮大な音楽スコアです。

  • モデル撮影+コンピューター制御による宇宙戦闘
  • 無機質ではない、手触りのある未来
  • 観客の心を震わせるテーマ曲とモチーフの数々

これらは単なるSF映画の枠を超え「体験型映画」の元祖とも言えるものでした。

世界観と“拡張性”が別格だった

『スター・ウォーズ』は、公開時点ですでにスピンオフや続編の可能性を内包した世界観を持っていました。

  • 詳しく描かれない銀河全体の歴史
  • 名前だけ登場する惑星や種族
  • 膨大なサブキャラクター

この余白の多さがファンによる考察や二次創作を呼び、のちのユニバース展開やメディアミックスの原型になったともいえます。逆に古参ファンからは後付けとか言われたり、言われなかったりといった問題もありますが。

単なる宇宙バトル映画ではなく、誰もが感情移入できる「冒険モノ」としての物語、そして語り継がれる「神話」としての構造。

『新たなる希望』は、物語、映像、音楽、そして世界観のすべてにおいて「次の時代の映画」の姿を示した、まさに革新の一作だったのです。こう分解してみると、売れないほうが嘘という気になってきますよね!

『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』主な制作陣・キャスト

ジョージ・ルーカス【監督・脚本】

“映画を変えた男”として知られる、アメリカの映画監督・脚本家・プロデューサー。『スター・ウォーズ』を通じて独自の映像革命を巻き起こし、ハリウッドのビジネスモデルやVFX技術の進化にも大きく貢献。

代表作

  • スター・ウォーズ シリーズ(EP1〜6)
  • アメリカン・グラフィティ
  • インディ・ジョーンズ シリーズ(製作)

ジョン・ウィリアムズ【音楽】

映画音楽界の巨匠。スター・ウォーズのテーマ曲は映画史に残る傑作であり、以後のシリーズを通してルークやフォースなど、キャラクターや概念に音楽的アイデンティティを与えた。

代表作

  • スター・ウォーズ シリーズ
  • インディ・ジョーンズ シリーズ
  • ジュラシック・パーク
  • ハリー・ポッター(前半シリーズ)
  • E.T.

マーク・ハミル【ルーク・スカイウォーカー役】

青年ルークを演じたことで一躍スターに。声優としても活躍し、『バットマン』シリーズではジョーカーの声を担当。

代表作

  • スター・ウォーズ シリーズ
  • ブリグズビーベア(主演)
  • バットマン(アニメシリーズ:ジョーカー役)

ハリソン・フォード【ハン・ソロ役】

皮肉屋の密輸業者ハン・ソロを演じ、アクションスターとしての地位を確立。以降も数々の名作に主演。

代表作

  • スター・ウォーズ シリーズ
  • インディ・ジョーンズ シリーズ
  • ブレードランナー
  • エアフォース・ワン

キャリー・フィッシャー【レイア・オーガナ役】

凛とした反乱軍のリーダー、レイア姫を演じて世界的支持を得る。のちに作家・脚本家としても活躍。

代表作

  • スター・ウォーズ シリーズ
  • 恋人たちの予感
  • ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲(本人役)

なぜ今『新たなる希望』を読み解くのか

『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』は、ただの冒険映画ではありません。若者の目覚めと旅立ち、仲間との出会い、信念と決断――物語の普遍的な構造が15ビートの脚本術に沿って、精緻に組み立てられています。

初期の観客が体感した新しさや熱狂は、単なるVFX技術だけでは説明できないもの。そこには観る者を惹きつけ、感情を揺さぶるための構造があったのです!

ルークの旅立ちを追うことで、私たちもまた物語の力に気付くことができます。脚本術を知れば、物語はより深く、より面白くなる──そう実感させてくれるバイブル的な一本です。

次に『スター・ウォーズ』を観るときは、ぜひこの設計図を持って「新たなる視点」でも味わってみてくださいね!

新たなる希望

save the cat