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脚本術・理論 2025/5/8
Written by 鳥羽才一

なろう・カクヨムで読まれるために|構成術と投稿アルゴリズムで上位を狙う!【2025年版】

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「なろう」「カクヨム」で上位に食い込むには、単に面白いストーリーや構成だけでは不十分──投稿戦略も不可欠です。読者の興味を引きつける構成術と、アルゴリズムに刺さる投稿ルールをセットで攻略しましょう。

Contents

もう「書くだけ」じゃ届かない時代に

「小説家になろう」「カクヨム」で物語を投稿しても、なかなか読まれない。面白いはずなのに、評価もブクマもつかない。そんな経験は誰しもあるはず。そんな時、実は多くの投稿者が見落としている“2つの技術”があります。

ひとつは「読者を離脱させない構成術」。もうひとつは「ランキングに刺さる投稿戦略(≒アルゴリズム)」の解析。どちらかではなく、両方を理解し、組み合わせて実行すれば、読まれる確率は一気に跳ね上がります!

ここからは、読むだけで戦える武器になる構成術とアルゴリズムの話をしていきましょう。表現やセンスは一旦ペンディング──読まれなきゃ評価もされません。それこそ投稿サイトのリアルなのです……!

しかし逆に言えば――構成と投稿の仕方さえ味方につければ、あなたの物語はもっと届くはず。これから読み解くのは、いわばストーリーの“裏コード”。

ゲームでいうなら隠しステータス──知らずに投稿するのは、丸腰でバトルロイヤルに突っ込むようなもの。見えないチート武器を手に入れて、他の投稿者に差をつけましょう!

なぜ、いま“映画的な構成”がWeb小説に効くのか?

最近「Web小説でも映画のような構成術が効く」という話をよく耳にします。これは偶然ではなく、読者を取り巻く環境がここ数年で大きく変わったからなのです。

読者の“可処分時間”が減っている

現代の読者はとにかく忙しい! スマホだけでもSNS、動画、ゲームといった娯楽があふれていて「小説を読む」という行為の優先度は決して高くありません。

だからこそ、読者は「面白そうかどうか」を数秒で判断します。読み始めて3行目で「これ違うかも」と感じたら、すぐに戻るボタンを押してしまうんです。

「出だし3分」が勝負になってきた

この状況、どこかで聞いたことがあるかも──そう、映画とまったく同じなんです。映画の世界では「観客の心を掴むのは最初の3分」といわれています。Web小説も、冒頭数行で「この物語は読者にとっての時間を費やす価値があるか?」を問われています。

言い換えれば、冒頭に“物語の約束”を明確に提示する力。これが、今のWeb小説における生死を分けるんです。

なんとなくヒマだから「よくわからないまま2000字読んじゃった~」なんて悠長な読者は、もういません。だからこそ即効性のある「映画的な構成術」が必要になってきたのです!

なろう・カクヨムの“ランキングアルゴリズム”の基礎知識

そしてそれ以前に、どんなに面白くても読んで──もっといえば開いてもらえなければ始まりません。ここで重要なのがランキングに乗るための見えない仕組み。そう、投稿サイトごとのアルゴリズムというわけです。

ブクマと感想の重み

「小説家になろう」でも「カクヨム」でも、読者の反応はスコアに直結します。特に重視されているのが次の2点。

  • ブックマーク(お気に入り)数
  • 感想やレビューの投稿

単なる閲覧数よりも、読者が「この作品を追いかけたい」と思った行動のほうが、アルゴリズムに高く評価される傾向があります。つまり「ブクマしたくなる展開」「感想を書きたくなる展開」を意識することが、上位表示の鍵なのです。

初動投稿時間と閲覧数の関係

意外と知られていないのがいつ投稿するかということ。読者が活発な時間帯、たとえば「平日21〜23時台」、「日曜の朝〜昼」などは、初動の閲覧数が伸びやすくなります。

初速が良ければランキングに引っかかりやすくなり、そこからさらに人の目に触れる──という好循環、狙わない理由がありませんよね?

継続投稿による加点ロジック(※仮説)

なろう・カクヨム両方に見られる傾向として「毎日更新」や「定期投稿」を続けている作品は露出が優遇される傾向があります。これは公式に明言されているわけではありませんが、

  • 「この作者は活動が活発だ」と判断される
  • 「読者の滞在率・回帰率」が高まる
  • 「お気に入りやフォロー」が継続的に増える

といった複数の要因が絡み合って、アルゴリズム的に“強い”状態を保てるのでは──というのが、多くの投稿者たちの共通認識になっています。

つまり、単純に投稿まで時間と工夫を凝らした「作品の良さ」だけでは届かない時代だということ。 読者の目に入る工夫=投稿戦略 そのものが、もう一つの“技術”なのです。

ゲームや映像は逆に形になっていないと見られない不思議

読者の感情をStC(Save the Cat!)で弄ぼう! 超初心者でもわかる”ビート”とは

ランキングに乗るための“投稿戦略”は理解できたはず──そこで気になる「読者が最後まで読みたくなる構成」とは……? 読者の心にズケズケ土足で入り込むためのテクニックこそ**StC(Save the Cat!)**という脚本術です。

これはハリウッドで使われてきた物語構造理論で、ヒット作のほとんどがこの型に沿って展開されている──と言っても過言ではありません。

そしてStCの構成は「なろう」のようなWeb小説にも応用可能──つまり「ステータス・オープン!」ってことに繋がるのです。

なろう式「起承転結」にどう噛み合うのか?

よく「起承転結」が日本的な構成とされますが、Web小説では1話ごとに起承転結が必要というより、連載全体における大きな流れの設計こそが重要になってきます。

STCは主に以下のようなビート(展開の節目)で構成されていて、これが読者に続きを読みたくさせる流れを自然に作ってくれます。

  1. セットアップ:世界観提示
  2. きっかけ:オイシイところへのフック
  3. 悩みのとき:「ざまあ」などへの溜め
  4. お楽しみ:一発逆転アドレナリン放出!
  5. ミッド・ポイント:次の展開への繋ぎ

俗にいう「1話切り」作品はビートがズレている?

たとえば「1話で読者が離れる」作品は「オープニング・イメージ」や「きっかけ」が遅れているケースがほとんど。

  • 読者が知りたいのは設定のすべてではなく「この物語で何が起こるのか」
  • 主人公の“行動”が始まらないと読者は“読み”を始めてくれない

この観点からもStCはなろう・カクヨムでの読了率アップに直結する構成術だといえるでしょう。

実例に学ぶ! 人気作に見るSTC×投稿テクの合わせ技

理屈はわかっても、実際にどう活かすのか──ポイントは「物語構造(StC)」と「投稿戦略(アルゴリズム)」を分けずに一体化させて設計すること。StCのビートと投稿タイミングの“合わせ技”を、実際の人気Web小説に照らして解説します!

一行目で世界をつかめ!

読者が読むかどうかを判断するのは、最初の数行です。人気作の多くは、この冒頭で「その世界でしか起きえない事象」や「キャラの強烈な言動」を打ち出しています。

  • 「目が覚めたら、空飛ぶクジラの上だった。」(強制的に読者の脳内に画が浮かぶ)
  • 「その日、婚約破棄された──三度目だ。」(即座にキャラの状況と個性を提示)

ここで掴めなければ即離脱という前提で、一行目から世界観・ジャンル・主人公像を一気に見せましょう。世界観を悠長に書いたり、人生哲学を披露しても、あまり良いことはありません。

"桃太郎バーサス吸血鬼"なんてサブタイトルで気を引く方法もアリ

お楽しみ=ジャンルの“お約束”を裏切るには?

StCの中盤「お楽しみ」は、いわゆる“見せ場”パート。バトルならバトル、恋愛ならドキドキ、コメディならトラブル──ここでジャンルの美味しい部分を堪能させなければいけません。

とはいえ“ありがち”にならないためには少しだけ外す・裏切ることも意識したいところ。

例:

  • 「異世界転移したのに俺だけチートなし! でもやたら人望が厚い」
  • 「悪役令嬢のはずなのに、攻略対象にまるで嫌われていない」

こうした展開で「どうなるの?」と読者の興味を引き続ける、いわば逆張り展開も。感想・ブクマのピークもこのあたりで発生しやすい──とはいえ、その展開も飽和気味。ミスリードと思ったら逆に順当、かと思ったら……と、意外性の話にも繋がります。

ミッド・ポイントに何を仕掛けると感想が増える?

中盤の山場「ミッド・ポイント」は、物語の意味合いが変わる瞬間。ここで「実はこうだった」系の真相や「ここから本気」系の転換を入れると、感想が一気に増える傾向があります。

例:

  • 「ここまでの冒険は全て試験だった」
  • 「追っていた敵が、実は未来の自分だった」

この“どんでん返し”に向けて、読者がしっかり追いかけてきてくれるように、週末(金土日)前後で投稿を重ねておくとベター。閲覧数→ブクマ→ランキング上昇→さらに閲覧数…という好循環の起点になります。

StCとアルゴリズム、両方を意識して組み込んだ物語は読者の印象に残りやすい──つまり「ブクマ」や「感想」にも繋がるわけです。

ありがちな失敗とその処方箋

地の文が多すぎて“リズム”を殺している

設定やキャラクターの心理をしっかり伝えたい──その気持ちはわかります。でも、セリフなしで1,000字以上続く地の文は、Web小説ではほぼ確実に離脱されます。

処方箋

  • キャラの感情や関係性は、セリフと行動で見せるのが鉄則
  • 読者の頭に“音”や“動き”をイメージさせることでリズムが生まれます
  • 地の文は“補足”であって、メインの推進力ではありません

3000字のうち2500字が設定紹介

最初に世界観を丁寧に説明しようとして、1話が丸ごと設定資料になっているケース。読み手からすると「で、この話、いつ始まるの?」となりがちです。

処方箋

  • 最初は“主人公が何をするのか”を明確に提示する
  • 世界観は「必要になった時に出す」で間に合います
  • むしろ設定が断片的に見える方が謎として機能することも

話が動かないプロローグと、動きすぎる1話のバランス

プロローグでやたらと壮大な叙述を入れると、読者がついてこられない──逆に1話目からバトル、怒鳴り合い、設定連発と、情報過多。これ、両方とも離脱する原因です。

処方箋

  • プロローグを入れるなら雰囲気で引き込むためだけにする
  • 1話目は“感情の起点”を描くのが理想。たとえば「裏切られた」「助けられた」など
  • 最初から詰め込みすぎない。読者と一緒に“旅を始める”感覚が大切です

「読む側に立つ設計」が物語の“読了率”を変える

いくら良いアイデアを思いついても、いくら深いテーマを描いていても──読まれなければ意味がありません。これが、なろう・カクヨムといった投稿型Web小説の世界です。

読者は“無料で読める作品”を次々と流し読みしていく中で続きを読みたいと思わせる仕掛けがある作品だけを敏感に選別します。

今回紹介した映画的な構成術「Save the Cat!(StC)」と、投稿プラットフォームのアルゴリズム理解。このふたつを掛け合わせることこそ令和の投稿戦争を勝ち抜く武器です。

  • 物語のビート(StC)で読者の感情をコントロールする
  • 投稿タイミング・継続性でアルゴリズムに評価される
  • そして「読者の可処分時間を奪う」最初の一行を、命がけで叩き込む

すべては「読む側に立つ設計」の積み重ね。その意識が作品の“読了率”を確実に変えてくれます。