その威容はさながら地下神殿! 首都圏外郭放水路の見学ツアーに参加しよう

都会を守護する地下神殿と聞くと怪しい宗教施設か何かかと思ってしまうかもしれません。あったらあったで面白いでしょうが──煌びやかだったり信者が蠢いていたりしない、ただただ機能美の素晴らしい、首都圏外郭放水路の見学ツアーに参加してみませんか?

首都圏外郭放水路とは

柱
神殿と称されるのも納得の荘厳さ。ロケ地としてもよく使われています

首都圏外郭放水路とは、埼玉県東部に位置する世界最大級の地下河川のこと。 国道16号の地下、約50メートルのところにあり、6.3kmも延びています。

各河川から洪水を取り入れる流入施設、地下での貯水、地下水路、地下水路から洪水を排出する排水機場など、水に関連した重要な設備から構成されていて、溢れそうになった中小河川の洪水を地下に取り込み、放水路のトンネルを通して江戸川に流す役割をしています。

そんな重要な役割のある水路なのですが、普段の静謐な空気はまさに現代の神殿といっても差し支えがないほど! なのに、いざとなれば大量の水を受け止めるというのだから驚きです。さすがにその様子を見学することはできませんが、コンクリートの壁に直接触れれば、その頼もしさに惚れ惚れしちゃいます!

見学ツアーに参加しよう! みどころ全部教えちゃいます

無料、予約制の見学会

首都圏外郭放水路では予約制の無料見学会を行っています。予約は公式サイトから、個人見学は1名から予約することができ、定員は1回25人まで。団体見学の場合は50人まで見学可能。月曜日は団体見学しか受け付けていないので注意が必要です。

予約開始は28日前から。余裕があるだろうと思いきや、なんと土日は日付が変わると同時に埋まってしまうほどの人気っぷり! 直前から張り付いていても「なぜか予約ができない」とよく聞きます。

地下神殿と呼ばれる巨大な調圧水槽

巨大な調圧水槽は圧巻の迫力! 地下トンネルから流れてきた水の勢いを弱め、スムーズに流すために作られた巨大プールは、高さ18m、幅78m、長さ177mと、ビルのような高さとサッカーグラウンド程の広さがあります。

機能的に必要とはいえ、そのスケールの大きさに神聖を見出してしまう人が現れるのも無理がありませんよね。

長い階段
昇降はなだらか。でも動きやすい服装が良さそう

ここにたどり着くまでに116段もの階段を下りなくてはいけません。なお、見学ツアーに参加する場合はこの階段を自力で降りられなければいけません。神殿に入るための大いなる試練──ではなく、安全上の問題だそうです。

1本あたり500t、59本もの柱

外郭放水路の柱

調圧水槽の柱はコンクリート製で、高さは天井と同じ18m、重さは約500tもあります。この柱が59本立ち、天井を支えています。この柱には天井を支えるだけでなく、施設自体が浮き上がるのを防ぐ役割も持っています。

コンクリートの塊が浮き上がってしまうなんて話が大きくて想像できませんね。無骨なコンクリートと侮るなかれ。そばに立てば、その壮大なスケールに思わずこうべをたれることでしょう。

忘れてはいけない。このエンジンがすごい!!

先に書いた通り、放水路の名の通り、汲みいれた水を最終的には江戸川へ放水しなければいけません。勝手に流れてくれれば楽なのですが、そこは自然の力。そう上手くはいきません。

そこで重要なのがエンジンです。芸術からかけ離れた、完全に機能のみを追及した巨大機構! でもどうしてでしょうか。地下神殿の『ご神体』のようには思えませんか? それは当然かもしれません。実際に洪水被害から守ってくれるものなのですから。

首都圏外郭放水路の活躍を学べる【龍Q館】

龍Q館

平成15年にオープンした地底探検ミュージアム、龍Q館。無料で入館することができます。人々を洪水から守ってくれる首都圏放水路の活躍をバーチャルに体験できる空間や、模型、操作室をみることができます。

見学ツアーの場合、まずは係員さんがここで各施設の説明をしてくれるので、実際に行った時にイメージがしやすくなっています。

龍Q館から出ると原っぱが! 休日はここでサッカーを練習しに、子供達が集まったりもしています。

こちらも忘れてはいけない。真のヒーロー江戸川

江戸川
江戸川の雄姿に敬礼!

いくら放水路がすごいとはいえ、江戸川の存在なくしてその真価は発揮できません。放水路を安定運用できるのは江戸川の懐の深さあってこそ。首都圏外郭放水路を見学した後は、江戸川沿いを歩いて、放水された水に思いを馳せましょう。

住所 埼玉県春日部市上金埼720(龍Q館)
アクセス 南桜井駅北口より車で約7分
定休日 土曜、日曜、祝日 ※月曜は団体のみ受け付け
電話番号 048-747-0281
料金 見学無料
公式サイト http://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/gaikaku/index.html