明治『アポロ』は世界一身近な宇宙グッズ!三角錐に隠された月を想う気持ち

アポロ

アポロ11号が月面へ降り立った1969年、あの頃は誰もが宇宙の旅を夢見ていた。時は流れて半世紀、キューブリックの描いた2001年を経て、未だに宇宙は憧れの地で──遠い月に想いを馳せる『アポロ』について。

アポロとアポロ計画

鮎焼き
定番の鮎焼き。姿が想像しやすい素直なネーミング

名は体を表すという成句が通用しない食品業界。特にお菓子は元になった物の名前をそのまま使うケースが非常に多い。函館山神宮スギなどが分かりやすい例だ。高級菓子だと由緒があったりと、これがどうしてか様になる。横浜ナポリタンのように余計わからなくなる例はそうそうない。

それが安価になるにつれ、だんだんとモノと関連性の薄い名前が増えてくる。ヨーグルはまだ繋がりがあるほうで、キャベツ太郎雪の宿に至っては完全に名前からは想像不可能。キャベツも太郎(?)も雪も宿も全て関係ないのである。

過去にすぐるから出ていた『えびマヨネーズ』はそのもの自体の名前を名乗っているにも関わらず、すぐる特有の板状だった。個人的には『揚げ柳』が引き継がれた『おやつ揚げ』のネーミングが気になっている──どちらも『揚げ』しか伝わってこないのが非常にそそる。

今回取り上げるアポロも、きっとそんな不可解なネーミングなんだろうと思っていた。ところが調べてみると、あの『アポロ計画』と関係している、世界一身近な宇宙グッズだということが判明した。

三角形の関係性

アポロ司令船
photo:Erik Charlton

この機体に見覚えはあるだろうか。そう、アポロ11号の司令船(地球に帰還した部分)である。アポロの三角錐の形状は、この部分をもとにしたものだったのだ。由来は共にギリシャ神話の太陽神『アポロン』から。名前は以前より登録してあったこともあり、アポロ11号発射の7月16日から約3週間後に発売された。

アポロ旧パッケージ
6・70年代SFの、やたらと動きのあるフォントを思い出す

旧パッケージも、それを知ってから見るとフォントの力強さといい、伸びるスピード線といい、そこはかとなく宇宙感がある気がしてくる。

司令塔のハッチ
photo:Mike Peel

チョコでは珍しいクリアパーツも宇宙を意識してか──ハッチを内側から見ると丸窓がついているので、その可能性もありそうだ。金の枠もそっくり。

アポロ計画の疑惑

宇宙探索

我々が宇宙に行けるのはいつになるのか……

人は都市伝説に心を惹かれる。それはもう、どうしようもないほどに。特に証明しにくいほど、いかにも真実らしく語られるもの。

アポロ11号の有人月面着陸は捏造ではないか、そんな陰謀論めいた議題について解説──とフェイントをかけて最初に夢のない話をすると、アポロ11号が月に行ったのはほぼ確実である。

着陸船や宇宙服の影の写り方が通常と違うのは、普段の夜空で確認できるように月の地表が太陽光をレフ板のように反射しているから。宇宙空間にも関わらず星が写っていないのは、そんな光量の場所で撮影しているため(星が写る設定ではブレたり白飛びしてしまう)。

現存する画像が非常に鮮明なことからも、撮影者の技術が卓越したものだと分かる(宇宙服はカメラ使用に適した服装ではない)。もしもこれらが作られたものなのであれば、こんなツッコミの入りやすい仕上がりにはしなかっただろう。

しかも捏造映像を作成したのは『2001年宇宙の旅』を監督したスタンリー・キューブリックという説があるのだから、下手な映像では逆に信憑性が低くなる──それすらも狙い通りというのならお手上げだが(やりかねないから怖い)。

だが残念ながら(?)そもそも月には物的証拠である反射鏡が設置されており、地球上から観測できるようになっているのだから、まさに『動かぬ証拠』がある状態だ。月面の写真・映像がキューブリックの未発表作品である可能性はまずないだろう。

映像的な面以外にも『月面で揺れる星条旗』や『月の石の成分にユニーク性がない』といった捏造説を支える主張には、どれも反証が出揃っている。たしかに陰謀論や都市伝説を語るのは楽しいことだが、アポロ計画を捏造だと糾弾するのは無理があるのだ。

それでないと「1972年のアポロ17号以降に人類が月面着陸を果たしていないので、11号だけでなくアポロ計画自体が嘘」という説に対する「月に行く資金も意味もないから」という夢も希望もない、ただただ厳しい現実が突きつけられてしまうことになる……。

そんな1番じゃなきゃダメなんですか的な発想は捨てて、私たちが生きているうちに、是非とも宇宙旅行ができるようになってほしい。がんばれNASA、がんばれJAXA! まずは人類月面再上陸計画の成功を願っている!

三角続けて半世紀!アポロちゃんは月面着陸の夢を見るか

アポロ
並べるのが非常に楽しい形状

ギザギザした三角錐が特徴的なチョコレート。上部のイチゴと土台のチョコのツートンカラーと相まって、非常にユニーク性の高いビジュアルである。

波型のリブは味や食感と関わりがあるわけではなく、純粋に見た目のためとのこと。個人的にはアポロが口の中で溶けてきた時の舌の触感が好きなので、ナイス判断だと讃えたい。

名称は【チョコレート】、製造は【株式会社 明治】。アポロチョコなど呼称があり、パッケージにも明治やチョコレートの表記があるが、商品名は【アポロ】のみ。

大粒の個包装や三角牛乳のような袋の食べきりサイズ、棒つきや自分で成形するタイプなど、様々なバリエーションで販売されている。

宙アポロ
先述のように1969年発売で、2019年で50周年を迎えた。それを記念して作られたのが『宙(そら)アポロ』! 宇宙を目指したアポロに相応しい商品だったといえるだろう。なお、チョコレート成分は入っていないため、味や溶け具合はかなり本家とは違った。

ところで、誰しも一度は上下のチョコとイチゴを綺麗に分離させようとしたことがあるはず──これにはコツがあり、奥歯の上下で互い違いに噛めば、9割がた上手く分けることができる。特に意味はないが、気になる方は実践してみるのもいいだろう。

パッケージへのこだわり

ヨーグルト
デザインの解剖展より。この他にも興味深い展示が数多くあった

明治の食品パッケージといえば、味が想像しやすいシズル感のあるデザインだ。チョコやアイスはもちろん、ヨーグレットまでパッケージを見ただけで味と食感を思い浮かべることができるようになっている。

近年出た中での例外は、キッズ向けを含めて見てもTHE Chocolateだけなのではないだろうか。そんな明治で、アポロのパッケージはは1972年のニューアル以降、ほとんど変更が加えられていないのである。

アポロ前面
安心できる伝統のデザイン

言われてみると等間隔に並ぶ苺や、アポロのイラストの角度・個数が変わった覚えがない。これらは象徴として意識して守っているとのことなので、今後どれだけ斬新な表現方法が生まれようと、きっと変わらず、同じ顔を見せてくれることだろう。

アポロにまつわる都市伝説

ニコニコマークのパナップや星・ハート型のピノ、大吉と書いてあるミルキーにピンクのM&M'sチョコなど、お菓子やアイスには恒例といっていいほどレアな規格が存在する。

公式で明言されている場合もあれば、都市伝説として噂だけが独り歩きしているものもあり──アポロはこのタイプだ。以前アポロには、お楽しみ要素としてイチゴとチョコが逆になった、通称『逆アポロ』という規格が存在した。

そして今は製造されていない──にも関わらず、未だに逆アポロを探し続けている亡霊のような人々が散見される。復活予定も今はないとのことなので、もしも探している人がいたら真実を教えて成仏させてあげよう。

どうしても逆アポロを見つけたい場合は、手づくりアポロでの自作がオススメする。完成品を既存のアポロに混ぜれば、自分で見つけることも、誰かに発見させることも可能。ちなみに逆アポロは通常の規格とは別の設備で製造されていたとのことだ。

よく見るとそっくり!アポロはきのこの山の生みの親

きのこの山とアポロ
きのこの柄がまっすぐ刺さっていないのも知らなかった

同じ明治から出ている『きのこの山』。この傘の部分をよく見ていただきたい。二層のチョコに、フリルのようなひだ──そう、アポロと同じ構造なのである。

何を隠そう『きのこの山』はアポロがそこまで売れ筋ではなかった時に、同じ設備を使って派生商品を作れないかという試作から生まれた商品なのだ。

普段からよく観察していれば気付けたが、私はたけのこ派のため、平成が終わる寸前まで気付くことができなかった。

一方『たけのこの里』はきのこの山の姉妹品として生まれたので、アポロとの関係は薄い。しかし形状としては、たけのこのほうが近いことは目を逸らすことのできない事実。クッキー&ストロベリーはもう完全にアポロと双子といってもいいだろう。

謎多き乙女『アポロちゃん』

アポロちゃん
アポロちゃんの身長は『アポロ3個分』といったところか

パッケージの裏でロゴに寄り添うキャラクターは【アポロちゃん】。1997年より登場。性別・性格と「いちごが大好きでたべすぎちゃうの」という自己申告のみ開示されている。

お菓子のキャラクターでは珍しく非常に露出が少なく、パッケージの前面にもいない。他の製品でもあまりキャラクターは目立っていないため、明治全体の傾向なのかもしれない。

住んでいるのは【ルナタウン】とあるが『おつきさま』と『おひさま』がキャラクターに含まれていたり、50周年記念壁紙ではアポロちゃんと幼体のミルクちゃん(キャラクター紹介に含まれていない)が回転するアポロと共に黄色い荒涼とした大地で踊っていたりと、なかなか考察しがいのある世界観だ。

背景に土星のような星が4つもあるため、太陽系でないことだけが類推可能──しかしそこがルナタウンと明言もされていないので、アポロちゃんのほとんどは謎に包まれているといっていいだろう。

同社のチョコベビーやバナナチョコとは世界観を共有しているようで、壁紙などでよく共演している。こちらでは緑などの植生や家も確認することができる。

宇宙的美味しさ!チョコとイチゴの黄金コンビ

アポロ
三角形から宇宙を感じるのは私だけだろうか

いちご味のお菓子の美味しさを左右するのは、間違いなく『材料に苺が含まれるか否か』である。当然のようにも思えるが、これがなかなか見落としやすく、他のフレーバーと違って香料しか入っていない場合、あまり満足感が得られない。

アポロに含まれているのは『いちごパウダー』。口の中でチョコが溶けると、わりとしっかり苺の存在を感じられる。チョコレートの明治らしく、準チョコレートではない本当のチョコレート──いちごと組み合わされば、絶対に美味しいと決まっている。

一つ一つが小さく、たくさん入っているので、いくらでも食べてしまうのが難点だ。全く罪悪感がないままに食べ切ってしまう、罪作りなお菓子である。

食べた後には作って遊べる!明治の『こうさくハウス』

明治のお菓子のほとんどは、空箱を再利用しての工作レシピが用意されている。もちろん他のメーカーでもできるはずだが──気合の入りようが違う。

どうすごいのかは各々見てもらうとして、お話を伺ってみたところ、マーケティング担当の方が「食べた後でも楽しい夢のある世界を楽しんでもらいたい」と企画したとのことだった。

どれも本当に驚かせられるトランスフォーム具合だが、最高難易度の『アーモンドの天使』は制作に3時間と、お菓子の空き箱遊びの次元を超えた、何か執念のようなものを感じる。作った人はいるんだろうか……。

それはともかく、動画を見ているだけでも楽しい気分になれるので、明治製品を買った後には覗いてみるといいだろう。

宇宙を夢見た希望のかけら

月
月の大地は未だ遠く

21世紀も1/5が過ぎてしまった現在、あの頃思い描いた月や他の惑星への移住は未だ計画というより予想の段階で、ほぼ何も進んでないといっていい。

中には宇宙開発など無理だ無駄だという意見もある。しかし私はそうは思わない。広い宙には無限の可能性があったし、今もある──アポロ計画は残念ながら途中で打ち切られてしまったが、その夢や希望は『アポロ』という名の結晶となり、生き続けている。

偉大な宇宙飛行士たちを乗せて地球へと戻ってきた指令船と同じ形状のアポロは、そんな願いの結晶なのではないだろうか。

アポロ成分表示
コズミックなエナジーは成分に含まれていない
品名 アポロ
名称 チョコレート
メーカー 株式会社 明治
原材料名

砂糖、植物油脂、カカオマス、乳糖、脱脂粉乳、ココアバター
いちごパウダー/乳化剤、着色料(ビートレッド、フラボノイド)
香料、(一部に乳成分。大豆を含む)

栄養成分表示
(1箱あたり)
エネルギー261kcal、たんぱく質2.7g、脂質16.1g、
炭水化物26.5g、食塩相当量0.06g
内容量

46g

情報・一部画像提供:株式会社 明治