人間は迷う生き物です。本日のランチならいざ知らず、どこへ行こうか何を買おうか、人生とは選択の連続──ビル・ゲイツだって同じはず。どうしても決断できない時には『プチプチうらない』に頼ってみてはどうでしょう。
普段は神や仏を信じていなくても、縁起の良し悪しは少し気にする──そんな生き方はあたりまえ。なにかにつけて日本人は無宗教だと取り沙汰されますが、行事の六曜を気にしたりと【縁起】こそが日本人の宗教のような気がします。中でも身近なのが占いで、朝の占いコーナーから下駄占いにおみくじなど、日本では色々な占いの姿を見ることができます。
もちろん駄菓子界でも占い要素が取り入れられています。点取占い(お菓子ではないけど駄菓子屋に売っているアレ)や当たり付き商品が最たる例。当たり付き商品でも『印字が綺麗・汚い』『ある文字の印刷位置が違う』『パッケージの形が違う』と当たりやすいなどという迷信的願掛けが流布していることからも分かるように、子供も占いが大好きなのです。
※箱買いするとネタバレする商品もありますが、良い子(おとな)は自重するように!
昔もそうだったかは覚えていませんが、ゴールできるかどうかでも運が試される例も。今回はゴールできませんでした……。
そんな占い大好きな日本人の国民性を巧みにつつくアイディア駄菓子が『プチプチうらない』。チョコ一粒一粒の下に『おこづかい』『テスト』などの占い項目があり、蓋部分に結果が記されています。
ネット上での表記は『占い』になっていたりチョコがついていたりしますが『プチプチうらない』が正式な商品名。姉妹品と区別する場合は(チョコ玉)の表記が加わります。商品の名称は【準チョコレート(準は〇の囲み文字)】、製造者は【株式会社チーリン製菓】。
18粒入りで20円(税別)と、占いが書かれていることを抜いても安いです。もちろん占いも料金に含まれているので、コスパで考えると、恐ろしいほど良いのです! これだけで3000円の占いが150回もできてしまいます。業界全体で中身が減る傾向のある駄菓子界ですが、発売以来値段も個数も据え置き……頭が下がります。
しかし塵も積もれば(?)というかなんというか、2018年9月時点で、累計3億5000万枚が販売されているとのこと。チョコ玉の数にすると実に63億粒! 単価が安いからこそなしえる数の暴力……これだから駄菓子は楽しいですよね。
そしてプチプチうらないは、大人になってからでも楽しさを保証します! 子供のやるものなんて決めつけず、たまにはスピリチュアルな生活をしてみてはいかがでしょうか。
梱包材で有名な『プチプチ』は通称ではなく川上産業の商標というのは広く知られていること。硬さは全く違うものの、プチプチうらないの見た目はプチプチと少し似ています。
『プチプチうらない』の発売が1985年、『プチプチ』は1991年に商標出願し、1994年に登録──『プチプチうらない』発売時に梱包材の通称がプチプチだと認知されていたかは定かでないため、後先問題は聞いたことがありません。
そうはいうものの1994年に『プチプチうらない』も商標出願しているので、住み分けはハッキリしたいのかもしれません。同じ業界ではFELIXガムがFXガムと二つに分かれたり(こちらは版権ではなくデザイン上の問題)、オリオンのミニコーラが販売停止要請を受けたりと、楽しさを重視する業界ではトラブルも多め。商標を取ったのは賢明な判断といえるでしょう。
ただ、大人に怒られる行為(この場合は勝手にプチプチを潰す)を公然とできるのが駄菓子の良い所。もしかすると参考ぐらいにはしたかもしれません。むしろこちらがプチプチの語源だったら──と空想が膨らみます! 全てを解き明かすのも良いですが、空想する余地も駄菓子という存在には必要です。私からは聞くようなことはせず、あえてこの部分に謎を残しておこうと思います。
それでは、実食を兼ねて『プチプチうらない』を体験してみましょう。パッケージはヨーグレットのようなブリスターパックで、こちらは外箱がありません。売り場で割れているのは見たことがないので、駄菓子らしからぬ優れた包装技術があるようです。
上からは記号の輪郭すら見えません。横からも結果を覗き見るのはなかなか難しい……。
たまに上の隙間に挟まって辛うじて見えることもあります。カンニングした良い結果を渡したり、悪い結果を押し付けたりもできるという、人間性が問われる仕様。
試しに一つ、おしゃべりを占ってみると〇が出ました。
〇はややよい、とのこと。普通よりは良いということでしょうが、なかなか厳しい。
◎3 〇8 △4 ×3
表にしてみると分かる、この厳しさ! 子供向けなのだからもっと◎を増やしてもいいようなものですが、そこはリアリティー重視なのでしょう『ややいい』が最多となりました。おみくじでは凶にあたるであろう『よくない』は一番少ないものの、『よい』も同じ数。人生はえてしてそういうものかもしれません。都合良く◎ばかり出ても子供だましのようで面白くないし、絶対はずれる。良い塩梅だと納得しておきましょう。
ちなみに、1パックで占えるのは18項目、内容違いを全てあわせると48種類もあるとのこと。売り場で見比べてみると、たしかに縁の柄ごとに占いが1項目差し変わっています。全結果のコンプリートは時間がかかりそうですね。
占い結果を見るついでにチョコ玉を全て出してみました。普段は1粒ずつ食べてしまうため、なかなか壮観。色が良い具合に散ってビー玉のようで、コロコロと目にも楽しい。色は赤・黄・オレンジ・黄緑の4種類で、色は特に占いとは関係ないとのこと。
一粒一粒は小指の爪ほどしかないものの、チョコが糖衣されており、準チョコレートのため、大きさに反してガツンとした甘みが。しかしそこは駄菓子。コーヒーで中和するほどではないので、口直しが必要な場合はカフェラテなどを用意しておくといいでしょう。ホットミルクに入れて食べるのもオススメ。
あまり頼りすぎるのも良くないですが、昔と比べて現代は考えることが多すぎる気がします。人生を左右する決断はともかく、そこまで自分で考える必要のないことは、プチプチうらないで吉凶を占って判断してみてはどうでしょう。脳のリソースに余裕ができて、少し気楽に生きられる──かもしれませんよ。もちろん結果に責任は持ちませんが。ちなみに、この記事を書くにあたって占ってみたところ、該当するであろう【しゅくだい】は〇でした。良いではなく、やや良い……。世知辛い!
品名 | プチプチうらない |
製造 | 株式会社チーリン製菓 |
原材料名 | 砂糖、乳糖、カカオマス、脱脂粉乳、植物油脂、ココアパウダー、全粉乳、でん粉、加工でん粉、増粘剤(アラビアガム、トラカントガム)光沢材、乳化剤、香料、着色料(赤3、黄5、青1) |
価格 | 20円(税別) |
公式サイト | http://www.chirin.co.jp/syouhinannnai(tyokore-to-sirizu).htm |